言語聴覚士は言葉や注意、記憶などの脳機能、飲みこみのリハビリを行う国家資格。
言語聴覚士の仕事は「人のために働くやりがいのある仕事」と言われる一方で、「言語聴覚士はやめたほうがいい!」と言われることもあります。
いくら興味があっても「やめたほうがいい!」と言われると、迷ってしまいますよね。
私は10年以上言語聴覚士として働いてきたので、言語聴覚士のやりがいも分かれば、「言語聴覚士はやめたほうがいい!」と言われる理由もわかります。
今回の記事は、私の経験をもとに超具体的に書きました。
言語聴覚士に興味があるけど言語聴覚士になっても大丈夫なのか迷っている人、すでに言語聴覚士で言語聴覚士をやめたほうがいいか悩んでいる人、どちらにもわかりやすい内容になっています。
この記事を読めば、言語聴覚士を目指すべきか、もしくは続けるべきか参考にできます。
ぜひ読んでみてくださいね。
ぶん
・年収400万のST
・米国株に3000万投資
・メインは米国株ETF
結論:言語聴覚士をやめたほうがいいかは人による
先に結論を言っておくと、言語聴覚士をやめたほうがいいかは人によります。
ありきたりですがこれが事実。
なぜなら、人それぞれ性格・能力が違えば、おかれている状況も違うから。
私で言えば言語聴覚士をやめなくてよかった。
理由は言語聴覚士の仕事は変化があって自分が成長できたからです。
言語聴覚士(ST)はやめたほうがいい!と伝えたい7つの理由
私は言語聴覚士になってよかったと思っています。
一方で、「言語聴覚士はやめたほうがいい!」と伝えたい経験もしています。
「人と話すのが好き」「人の役に立つ仕事がしたい!」だけで言語聴覚士に目指そうとしていると、挫折する可能性があります。
あなたには「言語聴覚士はやめたほうがいい!」と言われる理由を具体的に知ってほしいので、私の経験をもとに詳しく紹介します。
言語聴覚士(ST)は断られる
実は言語聴覚士の仕事は営業職に似ています。
どこが似ているかと言うと、相手が必要と思っていないことをどうにかしてしてもらう必要があるから。
一緒に働いている他の職種や言語聴覚士を目指している学生でも理解してもらえていないのが現状。
実際、私も言語聴覚士として働くまで理解できていませんでした。
言語聴覚士の仕事のイメージの1つに、言葉のことで困っている人のために言葉の練習を教えるというのがあります。
しかし、違います。
実際は、言葉の練習をしたくない人に言葉の練習を教えることが多いです。
本人がしたくないのに言葉の練習を教えることになるのには理由があります。
- 脳の病気やケガでいつの間にか入院していた
- 本人に自覚がない
- 言葉の練習をして欲しいと依頼するのが本人ではない
- 言葉の練習は幼稚であると思っている
以上のような状況で本人が希望していないにも関わらず、言葉の練習をしなければならない状況になってしまう。
本人が希望していないのに言葉の練習を教えなければならない状況は言語聴覚士を悩ませます。
本人が「言葉の練習はしない!」って言っているにも関わらず言語聴覚士が何度も「練習しませんか?」と言ったり、それを毎日言い続けたりするのでトラブルになっていきます。
営業職の例えで言うと、あなたの家に営業マンが商品を売りに来たとして、要らないモノだったら断りますよね。
最初は丁寧に断っていても毎日のように家に来て何分も説得され続けられたら、次第に口調が荒くなったり無視するようになったりするハズ。
言語聴覚士も同じ。どんなに良い人でも、知識や技術があっても関係ありません。
相手が要らないと思えば要らないのです。実際、言語聴覚士は要らないと思われます。
あなたが言語聴覚士として働くのであれば今度はあなたが営業マンと同じ経験をすることになります。
言語聴覚士の資格を取れば「言葉で困っている人の役に立てる!」と思うかもしれません。
しかし、現実は練習を嫌がる人に何度も会いに行き、徐々に顔を見られただけで厳しい言葉を言われるようになります。
実際、私は何度も「もう来なくていい!」と言われてきました。正直ツラいです。
言語聴覚士を続けるのであれば覚悟してください。
個人的に「言語聴覚士はやめたほうがいい!」という理由No.1です。
言語聴覚士(ST)は断られても何度も行かなければならない
更に辛いのは、何度断られても練習をしてもらうために説得に行く必要があります。
どういうことかというと言語聴覚士は医師や上司の指示に従う必要があるからです。
もちろん、言語聴覚士からも「御本人がしたくないとおっしゃってるので言葉の練習はできないと思います」という提案はできます。
ただ、必ずしも言語聴覚士の意見が聞いてもらえる訳ではありません。
上司からは「そもそも本人が練習したくないのは当たり前。どうにかして練習してもらうのが言語聴覚士の仕事!」や「断られるのはあなたの接し方の問題では?」と言われます。
本人からは嫌がられ、上司からは努力不足、力不足であることを指摘される。板挟みになります。
正直、休みの日でも次の出勤を考えると休んだ気になれず、出勤もしたくなくなります。
言語聴覚士(ST)は評価が下がりやすい
言語聴覚士ではない方からすれば、「だったらとりあえず行って、断れたら帰ってくればいいんじゃないの?」と思うかもしれません。
ただ、営業職と同じで多くの職場ではノルマがあり、1日平均何単位以上練習してもらう必要があります。
なので「行ったけどダメでした、、」では当然評価が下がります。
言語聴覚士の練習が理学療法士や作業療法士の練習と比べて断られやすいのは、本人が必要性が感じていないことに加えて、本人にしてもらわないと成立しにくいこともあります。
例えば、理学療法士や作業療法士の足や手の練習は必要性を自覚している人が多いので、基本的に練習はしてもらいやすいです。
仮に本人が「今日は動きたくない」と言っても、理学療法士や作業療法士であれば「今日は私が足や手を動かしますね!」「マッサージでもしましょうか?」と言って本人の代わりに動かしても練習にはなります。
しかし、言語聴覚士はそうはいきません。まず大半の人は言葉の練習をしたがらない。更に本人が練習しないからと言って、STが「今日は私が代わりにしゃべりますね!」では当然、練習が成立しません。
もちろん、言葉のリハビリなので会話練習をすることはあります。
ただ毎回一方的に話し続けることはできません。
結局、練習ができずノルマも達成できないので評価が低くなります。
基本、言語聴覚士として働くのであれば断られるのは宿命。
どこの職場であっても起こります。避けられません。
言語聴覚士(ST)はフォローが大変
フォローがイヤならSTはやめておいた方が良いです。
理由としては言語聴覚士の人数が少ないのと時期によって担当する方の人数の差が大きいから。
例えば、言語聴覚士は1職場に大体数名から多くても10名程度のコトがほとんど。
1人でも欠員が出てしまうとフォローの負担が大きいです。
特に2人しか出勤していないのに1人休みが出てしまうと1人でフォローしなければならず相当大変です。
基本、担当者が休みだったら誰かが休みの担当者の代わりをする必要があります。
担当者が休みだから練習も全て休みにする訳にはいきません。
もちろん、自分の担当している仕事は行い、休んだ人が担当するハズだった仕事もする必要があります。
当然、業務の開始時間や終了時間は決まっていますし、言語聴覚士の仕事は行う時間が決まっていまるので業務前から調整しないと間に合いません。
特に外来であったり食事の練習があったりする場合は時間が決まっているので時間を変更するべきかどうか考え、関係する人に連絡も必要になってきます。
更に担当する方によっては時間を変更できないので時間調整だけでも一苦労。
更に時間調整だけで終わりません。当然、担当者の代わりに練習を行うので普段行っている練習内容などの情報収集も必要です。
その日は自分の仕事を後回しになるので残業も多くなります。
また兼務や異動によるフォローもあります。
病院に加えて訪問リハビリや施設も運営している職場では、訪問リハビリや施設に配属される言語聴覚士は1人か多くても数名だけのことが多い。
なので、病院で働きたいと思っていても訪問リハビリや施設などで休みが出てしまうと言語聴覚士が1人もいない状況になるので兼務させられたり、場合によっては異動させられたりします。
一方で、時期によっては言語聴覚士の数が担当する方の人数よりも多すぎる時があるので、その時も兼務や異動などで希望していない場所へ飛ばされてしまうことがあります。
言語聴覚士(ST)は給料が安く1馬力で家族を養うのが難しい
1馬力で家族を養いたいなら言語聴覚士はやめておいた方が良いです。
なぜなら給料が低く、昇給も微々たるモノだから。
例えば、20代の頃の私の手取りは10万円台後半でした。
年1回昇給はありましたが、良くて数千円程度。
ただ税金や社会保険料も上がっていくので大して上がりません。
職場にもよりますが30〜40代でも手取り20万円代でしょう。
なので子どもがいる家庭では、1人の給料で生計を立てるのはかなりハードです。おそらく家族のいる家庭では共働きが必要になります。
言語聴覚士(ST)は出世の道が険しい
リハビリ科で出世したいなら言語聴覚士は向いていません。
リハビリ科でトップになりたいなら理学療法士もしくは作業療法士になるべき。言語聴覚士がリハビリ科で評価されるのは難しいです。
私が今まで働いてきた職場で言語聴覚士がトップだった職場はありません。言語聴覚士が役職につけるのは大体良くて主任レベル。
私の経験上、リハビリ科で評価される人はFIMの運動項目など、担当する方の身の回りの動作の練習や指導などに直接関わり、部下や後輩の指導ができる人でした。
つまり、基本的に理学療法士か作業療法士になります。
実際、運動面が良くなれば本人や家族に満足してもらえて、職場の利益にもつながるので当然と言えば当然です。
FIMとは運動と認知に関する能力を18項目に分け、7(自立)〜1(全介助)点で採点する評価項目です。
まれに言語聴覚士でリハビリ科のトップもしくはトップと同じくらいの役職の方もいます。もう神レベルです。
ただ、普通は無理だと思うのでリハビリ科で出世したいなら言語聴覚士はやめておいた方が良いです。
言語聴覚士(ST)には肉体労働がある
肉体労働がイヤならやめたほうが良いです。理学療法士や作業療法士より少ないものの、実は言語聴覚士でも肉体労働があるからです。
言語聴覚士の仕事を紹介するサイトでは、言語聴覚士が椅子に座って絵カードを見せながら言葉の練習をしている画像があります。
しかし、それは業務の1場面。いつも座って仕事ができる訳ではありません。
普通に担当している方の部屋に伺って数十分以上立ち続けて練習したり、自分より体重が重い方の乗り移りを手伝ったりすることが1日に何回もあります。
また忙しければ何度も階段や廊下の往復をすることもあります。私は1日の業務で1万歩以上歩いていることがあります。
言語聴覚士はずっと座って仕事ができると思っているのであれば誤解です。
これらのことは言語聴覚士として働く上で宿命。イヤならやめたほうがいいです。
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なぜ「言語聴覚士をやめたほうがいい?」と悩むのか
ここからは現在、言語聴覚士として働いている人向けの内容です。
実は「言語聴覚士をやめたほうがいい?」と悩むのは普通です。
なぜ悩むのかというと、言語聴覚士の仕事はやりがいを感じにくいから。
誤解が無いように繰り返します。やりがいがないのではなく、やりがいを感じにくいというのがポイントです。
特に経験年数の少ない言語聴覚士1年目や経験年数があっても業務をこなすだけになっている場合に悩みます。
例を挙げると、同じリハビリ職の理学療法士(PT)や作業療法士(OT)であれば、自分が関わったことで歩けるようになったりトイレに行けるようになったりする等、目に見えて改善が分かる。
患者さん本人も歩いたりトイレに行ったりできれば、改善が分かるので嬉しい。そのため理学療法士や作業療法士はやりがいを感じやすいです。
一方で言語聴覚士が担当する言葉や注意・記憶力等に関する練習は改善が分かりにくい。患者さんも自分の状態を正確に分からない。
更に言葉や注意・記憶力が改善したとしても、それだけでは自立した生活につながらない。特に「早く家に帰りたい」と思っている患者さんには喜んでもらえない。
患者さんに喜んでもらえず、言語聴覚士本人も「言語聴覚士って意味あるの?」と思い始める。
そして、「言語聴覚士をやめたほうがいい?」と悩むことになり、次第に「言語聴覚士をやめたい!」と考えることになります。
「言語聴覚士をやめたほうがいい?」と悩む言語聴覚士(ST)に伝えたいこと
あなたが「やめたほうがいい?」と悩んでいるなら、まず患者さんが必要としているものを提供できているかどうかを確認すべきです。
新人や経験年数があっても仕事にやりがいを感じられない言語聴覚士には、専門性の高い言語練習をすれば患者さんが喜ぶと思っている。
でもこれが勘違いの原因。
なぜなら、多くの患者さんは言語の練習をしたくて入院しているわけではないから。
ラーメン屋で例えるならラーメンを食べたくないのに「ウマいラーメンを出したら喜んでくれるだろう」と勘違いしているようなものです。
ただ勘違いしやすい状況として、ラーメン屋であればラーメンを食べたい人が行くのでウマいラーメンを出せば喜んでもらえます。
しかし、病院に来る人は病気やケガが原因で自分で判断できなかったり、「イヤだけど運動のリハビリはした方がいいかな?」と、しかたなく病院に来ています。
なのに、あなたは入院しに来た=患者さんは「言語の練習をしたくて病院に来ている」と思ってしまっている。
ココを勘違いし、患者さんが必要としているものを分かっていないまま言葉の練習をしてしまいイヤがられる。
そして最終的には、言語聴覚士の仕事にやりがいを感じなくなり、「言語聴覚士をやめたほうがいい?、、やめたい!」につながっていきます。
「言語聴覚士をやめたほうがいい?」と悩んでいる人がすべきこと
「言語聴覚士をやめたほうがいい?」という悩みを解決するために言語聴覚士がすべきことがあります。
それは、患者さん本人や家族等の親しい人と話をして情報を集め、好きなことや楽しめることを提供したり、困っている問題を解決すること。
例えば、気分転換したいと思っている人であれば、教科書通りの言語練習をするよりも散歩に行った方が喜んでもらえます。
大切なのは、まず相手がしてほしいと思っていることを提供すること。
言語聴覚士の仕事は人の役に立つことです。なので、私は役に立つことであれば何でもします。
役に立って喜ばれることが言語聴覚士のやりがいになって言語聴覚士を続ける理由になると分かっているからです。
もちろん言語聴覚士として、専門性を高めることは大事です。
ただ言語聴覚士を続ける上で重要なのは相手が何を必要としているのかを考えること。
時には専門性を捨てて、相手がして欲しいことを提供できるようになることです。
もっと言うと役に立って初めて「言語練習はイヤだけど、コイツの言語練習をしてやってもいいかな?」と思ってもらえるのです。
言語聴覚士を続けるにはまず人の役に立つには、何ができるかを考える必要があります。
それは患者さんのためでもあり、あなたが言語聴覚士を続けるに理由になっていきます。
■オススメの書籍
養成校・教科書では教えてくれない‼ 脳卒中リハの落とし穴100―成功への一歩
新人の言語聴覚士がやりがいを感じるためには、まずはどんなことでも役に立つことが重要。そのためには、ADLを把握し、関わり方を勉強する必要があります。
この本では言語聴覚士が担当する方のADLや関わり方を全体的に学べるのでオススメです。
言語聴覚士が専門性を発揮してやりがいを感じるためには、最初に「コイツ、役に立つな~」と思ってもらうのが最重要。その一歩目になる本です。
解決できた!言語聴覚士(ST)の私がやめたほうがいいと思う理由
一方で言語聴覚士の仕事を続けたいと思っていても別の理由でやめたほうがいいか悩むことがあります。
それは職場での問題。
私自身、新人の時は、ツラい経験をしました。ただ以下に紹介している問題は職場を変えて解決できました。
- 時間外労働が多い
- 休みの日数が少ない
- 上司とのコミュニケーション
やめる前は
「いくら資格があるとはいえ、すぐにやめてしまっては経歴にキズがつくかも、、」
「もしかしたらあと数年頑張れば状況が良くなるかも、、」
など不安と期待が入り混じりながら働いていました。
しかし、結局は職場を変えて解決しました。
今までに複数回職場を変えたものの、最初に働き始めた職場よりも良い環境で働けています。
「言語聴覚士(ST)をやめたほうがいい?」と迷うなら他の職場の情報収集は必須
あなたが言語聴覚士をやめたほうがいい?と迷うなら、まずは他の職場の情報収集をしてください。
むしろ、悩んでいなくても普段からしたほうが良いです。理由は3つあります。
- 現状の良し悪しが分かる
- 言語聴覚士業界の傾向が分かる
- 良い情報が出た時に行動できる
普段から情報収集しておけば本当に言語聴覚士をやめたほうがいいか判断できます。
今やめる気がなくても年齢を重ねる中で職場を変えた方がいいのか、言語聴覚士自体をやめたほうがいいのか考える日がきます。
悩まなくて良いように普段からの情報収集は必須です。
現状の良し悪しが分かる
情報収集をしておけば、現状の良し悪しが分かります。
やめたほうがいいかどうか迷う1つの理由は、他の職場を知らないので基準がなく現状が良いのか悪いのか分からないから。
特に待遇は職場によって差があります。
以前、私が数年間働いていた職場は毎日数時間残業しトータルの残業代は0円。
でも今の職場は基本定時に帰られます。残業するのであれば残業代もつきます。
残業代が1円もつかない場所で10年20年と働いていたらと思うと、、、
当時、働き始めて間もなかった私は、とりあえず仕事に慣れるのに精一杯。
全く情報収集していませんでした。なので職場の待遇が良いのか悪いのか分かっていませんでした。
新入職員であっても情報収集しておかないと何年間も無駄にツラい思いをします。
業界の傾向が分かる
情報収集しておけば業界の傾向が分かり、やめたほうがいいか判断できます。
正直な話、全体的な傾向は良くなっていない印象。
例えば、収入で言うと約10年前の私の初任給で手取り月収16万円程度。現在の新人の待遇は同じくらいの手取りかそれよりも低いことがある。
同じ職場でも数年早く入職したかどうかで年収に数十万円差がついてたりします。もちろん、早く入職した方が年収が高い。
私が働き始めた時より年収などの待遇は良くなっていない。今後も転職が遅くなると年収面などで不利になる可能性があります。
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言語聴覚士(ST)の年収(給料)は低い?高い?STの収入で生活する方法【経験談】
良い情報が出た時にすぐ行動できる
普段から 情報収集しておけば希望に合う情報が出た時に行動できます。
良い情報はいつ出るか分かりません。また自分が良いと思った情報は他の人も良い情報と思っていることが多い。つまり競争、早い者勝ちになります。
一般的に言語聴覚士の採用人数は1つの職場につき1〜2人程度。当然、待遇が良ければ希望者が多くなり、すぐ募集が終了します。
良い職場であれば離職率が低いので次の採用まで何年もかかることがあります。
更に、以前良い待遇で募集していた職場でも前回と同じ待遇で募集するとは限らない。なので、待っていれば良いというものでもありません。
今はネットですぐに情報が手に入れられる時代。情報収集する人、しない人で職場の待遇面に大きな差がでます。
「言語聴覚士(ST)をやめたほうがいい?」と悩んだツラい経験は転職でアピールできる
と思うかもしれません。
しかし、そんなことはありません。私はツラい経験をアピールポイントに変えて転職を成功させました。
例えば、
- 実習生や新人の指導を行ってきて即戦力になれる
- 勉強会などで大勢の前でプレゼン経験がある
- 上司とのコミュニケーションでは協調性を意識して働いてきた(具体例:みんなが働きやすいように連絡や報告方法を工夫してきた等)
ツラい経験はアピールポイントにできます。
言語聴覚士として「今の職場はやめたほうがいい!」転職する際の情報収集のポイント
転職する時に重視するべきポイントは以下の2つ。
- 優先順位を決める
- 友人、知人に相談する
この2つを重視すれば判断がしやすいです。
優先順位を決める
まずは職場を変える上で何を改善したいのか優先順位を決めるのが重要。
自分の希望を全て満たすような職場があれば理想です。しかし、現実にはありません。
なので、年収や勤務時間、教育体制、勤務地など自分にとって何が重要なのか優先順位を決めることが重要です。
言語聴覚士(ST)の友人や知人に相談する
STの友人や知人に相談することも重要。職場の詳しい状況は実際に働いている人でないと分かりません。
もちろん、自分が希望している職場に友人や知人が働いていることは少ないでしょう。
ただ友人や知人の知り合いが働いていて情報を聴けることがあります。特に外部の勉強会によく出席している人であれば知り合いが多く、他の職場のことも知っていることがあります。
普段から同級生と連絡を取っていると他の職場の状況が分かり、転職の際にお互い有利です。
■求人検索ができます。
厚生労働省:言語聴覚士 職業詳細 職業情報提供サイト(日本版O-NET)
■転職活動はお金がかかる!お得に転職活動しましょう。
宿泊・高速バス・航空券の予約が可能。
言語聴覚士(ST)の私が「やめたほうがいい?」と悩んだ職場での具体的な出来事
ここで私が転職した理由を具体的に紹介します。「どんな職場で働いてたの?」思われたら読んでみてください。
時間外労働
前の職場は時間外労働が多くツラかったです。主に3つの時間外労働がありました。。
- 担当する方などに関する情報共有
- 実習生や新人の指導
- 勉強会
担当する方などに関する情報共有
当時、私の働いている職場では1日あたり新しく2人担当することがよくありました。
誰が担当するかは立候補制のような部分はあったものの、誰も立候補しなかった場合は誰かが空気を読んで担当せざるを得ない状況。もちろん、当時、新人だった私も空気を読んでいた人の1人。
担当する方が増えれば、練習内容を考えたり、他の職員との情報共有のために情報や練習内容の書類を作成したりする必要があります。その分業務時間が増えます。
自分も同僚も忙しくて話す時間が取れないことが多かったので、書類だけで必要な情報や練習内容が伝わるように作成していました。
一方で自分が伝えたいことと同僚の知りたいことに差があり、結局、「書類は作ったけど直接話して説明した」ことがあり、時間がかかっていました。
書類を作ったり、説明をしたりする時は定時を過ぎてからになることが多く、毎日1〜2時間程度は残業していました。
実習生や新人の指導
情報共有に加えて、実習生や新人の指導などを担当して時間外労働になることがありました。
私が勤務していた職場は毎年のように複数名の実習生や新人が来ていました。なので実習生や新人の指導も一般的な業務でした。
実習生や新人の指導は業務時間内に終わらせる必要がありました。なので、自分の仕事は定時後にする状況でした。
1人であれば業務の隙間時間に事務作業をして時間外労働を短縮できます。しかし、実習生や新人がいる場合は隙間時間に指導する必要があり、自分のペースで仕事ができません。
隙間時間が使えないため仕事が進まず、自分の仕事は定時を過ぎてから取りかかるのが普通でした。
更に実習生や新人の見学の予定を組んだり、1日数時間以上そばにいて見続けられたりするので疲れます。
ようやく実習生や新人の指導が終わっても、疲れた状態から自分の仕事に取りかかるので、余計に時間がかかっていました。
勉強会
自分の仕事が終わってもまだ自宅に帰られない日があります。勉強会です。
勉強会が職場である日もあれば、別の場所である日もありました。場所によっては、車で片道1時間以上かけて行っていました。
もちろん、勉強会の会場に着いてからが本番。勉強会で更に1〜2時間はかかります。勉強会も出席すれば良いだけでなく自分が資料を作って発表する日があります。帰宅後や休日を使って資料を作っていました。
ツラかったのがダメ出しを目的にしているような雰囲気。 ダメ出しはされるけど、具体的に何を改善するべきか分からない。なので、勉強会のたびにダメ出しされるのでツラかったです。
■オススメの書籍
「勉強会で毎回ダメ出しされるけど、結局何をすれば分からない人」向けです。
勉強会でダメ出しされる原因。
- 評価や練習の立案ができていない
- レポートが書けない(あなたが何を言いたいのか分からない)
- 自信がないように見える(プロとして責任を果たしてないように見えてしまう)
この原因を解決するために2冊の本を紹介します。
◎評価・練習用
初回面接などのコミュニケーションで評価すべき点や言語練習が網羅的に書かれています。言語メインの内容であるものの、どのような視点で評価や練習をするべきか分かるので言語以外で関わる方にも役立ちます。
◎レポート用
具体例があるのでレポートの書き方が分かります。ただ重要なのは、あなたがどのように考えて結論を出したのか相手に伝わること。レポートを書くことがメインにならないように注意が必要です。
大切なのは、あなたがプロとして評価や練習の立案ができること。問題と向きあって自分の結論を仲間と共有できることです。何をすべきか分かれば、自信は後から付いてきます。大丈夫です。
10年以上経験があっても判断に迷うことはあります。心配しなくていいです。
そのほか、家族がいて仕事と家庭を両立する必要があれば以下の記事を参考にしてください。
■関連記事
【重要】30代言語聴覚士(ST)が転職先選びで失敗しないための5つのポイントとは?
休みの日数
休みの日数も職場によって差があります。私の場合、最初に働いた職場と比べると、1年あたりで休みの日数が1ヶ月程度違います。
休みには公休と有休があります。
公休は一般的に100日〜120日程度と差があります。
有休の使用に関しても差があります。年間10日以上使えるところがあれば、数日しか使えないところがあります。
有休があっても使えないまま、有休の期限が切れてしまうことがあります。
働き始める前に公休の数や有休の取得しやすさは確認が必要です。
上司とのコミュニケーション
上司とのコミュニケーションが上手くいかず転職しました。
私が抜け出せなかった上司とのコミュニケーションの沼は以下の通り。
仕事の話をしようとしても、
- 常に話しかけづらい
- 何とか話しかけても、内容問わず最初から厳しく指導しようとしている雰囲気
- 案の定、厳しい口調で指導される
基本、このパターン。
話しかけづらいので連絡すべきか悩むような内容だと伝えるのが遅くなることもあり、それはそれで厳しい口調で言われるのでお手上げ状態。
更に入職した時は教育体制が整っておらず、上司から十分な指導をしてもらえない状況。
指導してもらってなくてもミスをしたり、上司の意にそぐわない行動や発言をしたりすれば厳しく言われていました。
加えて、厳しく言われる時も他の職員が大勢見ている中で言われる時もあり、どんどんツラくなっていきました。
仮に同僚との問題であれば上司に相談して協力してもらうこともできます。でも上司本人との問題となると、誰にも相談できる人がいませんでした。
以上のことが積み重なって、悩んだ末に転職するという選択をしました。
言語聴覚士(ST)はやめたほうがいい!と言われても諦められないあなたへ
言語聴覚士として働き続けるために働き方や働く分野を変える方法があります。
具体的には以下の通り
- 勤務形態を変える
- リハビリの領域を変える
- 一般メーカーに就職する
勤務形態を変える
自分にあった勤務形態を選ぶコトでSTとして働き続けやすくなります。
- 正社員
- 時短勤務
- パート
正社員だと担当する人が増えるのでそれだけ負担が増えます。でも時短やパートであれば担当が少なくなり働きやすくなります。
「言語聴覚士を正社員で週5勤務するのはキツくて無理だけど週4勤務なら大丈夫」とか、「16時までだったら働き続けられる」等。
特に長い期間正社員で働いていると「正社員で働くのが当たり前」となりがち。
ただ言語聴覚士始めリハビリ職員は30代前後が多く家庭環境等が変わって勤務形態を変更する人は多い。勤務形態を変えるコトは珍しくないので勤務形態を変えてSTとして働くのも一案です。
リハビリを行う領域を変える
リハビリを行う領域を変える方法もあります。というのも自分でもどのリハビリの領域が適しているのか分かっていないまま働いているSTが多いからです。
医療機関・福祉施設だけでなく、年齢でみても成人と小児の領域も分かれています。
私の同僚でも「自分は小児が向いていると思ったけど、成人が合ってた」という人がいます。
自分が思っている自分の適性が本当に合っているのか、1度見つめ直すのは大事です。
■求人検索できます
一般メーカーに就職する
更に言語聴覚士の活躍できる場は医療機関・介護福祉施設だけではありません。
一般メーカーに就職するという選択肢もあります。
- 補聴器メーカー
- 福祉用具の販売、レンタル
- 食品メーカー etc
言語聴覚士=リハビリっていうイメージが強いですが言語聴覚士は一般メーカーでも活躍できます。自分に合ったメーカーを探してみてください。
■言語聴覚士が活躍している領域を調べられます。
「言語聴覚士をやめたほうがいい?」と悩む前に必ず情報収集はしておく
結論、言語聴覚士をやめたほうがいいか人によります。
私の場合、
- 時間外労働が多い
- 休みの日数が少ない
- 上司とのコミュニケーション
の問題は、職場を変えることで解決できました。
重要なのは普段から情報収集しておくこと。
情報収集しておけば自分なりの基準ができ、やめたほうがいいか判断できます。
情報収集する時は、
- 優先順位を決める
- 友人、知人に相談する
が重要です。
一方で「言語聴覚士はやめたほうがいい!」というリアルなツラい現実もあります。
ただ言語聴覚士の資格を活かせる領域はたくさんあります。
資格はなくなりません。いつでも再スタートできます。
いずれにせよ、普段から情報収集しておけば納得できる判断ができます。
私は言語聴覚士を続けています。
一緒に頑張りましょう!
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